津軽三味線とは

(津軽三味線の歴史)
青森県津軽地方で坊様(ボサマ)と呼ばれた盲人達の門付け芸から始まり、現在に至っております、彼らは家々の軒先で三味線を弾き歩き、金品をいただいておりました。

しっかり演奏しなければ、その日の糧も得られず、修行を重ねて芸に磨きをかける必用があったのです、昔は化繊糸など無く、全て絹糸を使っていました、高価なので大事に使っていたのです、高橋竹山に代表される竹山流では現在でも全て絹糸を使っております。

やがて、民謡の伴奏にも加わり、津軽三味線が全国に知れ渡ることになりました、そして、津軽三味線独特の力強い演奏に聴衆も魅了され、認知されていきました。

津軽三味線は仁太坊(1857〜1928)に始まり、白川軍八郎(1909〜1962)へ継承され、やがて多くの演奏家に広まり、現在に至っております。

(津軽三味線の規格)
津軽三味線の棹は義太夫三味線と、ほぼ同型ですが太さは一番太く、それを称して太棹とも呼ばれています、民謡の伴奏でもよく使われるので、民謡三味線と勘違いされる方も時々おられますが、全くの別物です。

津軽三味線で民謡は弾けますが、民謡三味線で津軽ものは弾けません、そもそも力強い津軽の叩きに民謡三味線では耐えられないのです。

ネットオークションや友人から太棹だといわれて購入した、若しくは両親から太棹だといわれたと、民謡三味線を持ってこられる方が結構多いです、中古を譲り受ける場合は気をつけましょう。

簡単な見分け方は、ちょっと細目の9分5厘や8厘もありますが、津軽の棹幅は、一寸(3.03センチ)がほぼ基準です、次に猿尾(下棹と胴が触れる部分)の上面部分は必ず角ばっております。
それと、津軽は糸巻きも太くなります、一部に太目の9分もありますが、津軽糸巻きの基準は8分5厘(2,575センチ)です。

棹幅、糸巻きの太さ、猿尾上部の確認をすれば中古でも間違った三味線を購入することは無いとおもいます、東サワリは必須なので、これも確認しましょう。

細棹と呼ばれているのは一番細い長唄用です、小唄、端唄、清元、民謡は中棹に分類されます、義太夫は津軽より細く、民謡よりは太いです。

猿尾(下棹と胴が触れる部分)の上部が丸いのは長唄、小唄、端唄、清元などで、民謡、地唄、義太夫、津軽は角ばっています。

(流派)
津軽三味線の流派で最大流派は小山流です、次に澤田流と続き、他たくさんの流派がございます、みなさん独自に演奏に工夫を凝らし、お弟子さんへと技術を継承しております。
昔は津軽に譜面はありませんでした、現在では小山流などで練習用に譜面はございます、でも、演奏会などでは演奏速度が速いので、譜面をみていたら追いつきませんね。

(三味線の材質)
主に花梨と紅木ですが、他に紫檀もございます、現時点では紅木が最も適した材料です。
この紅木は日本には自生しない木材です、昨今では調達が難しくなりつつありますが、代用できる優れた木材も無いので、大切に使ってあげましょう、木質なのでどんな壊れ方をしても必ず直せます、決して廃棄しないで使い続けましょう。

他に撥は鼈甲や象牙、糸巻きは象牙だったり、ワシントン条約に抵触する材料ばかりです、将来は入手が困難になる可能性が高いです、是非とも、大事に末永く愛用してあげましょう。

詳細に書くと長くなるので、詳しいことはご自分で調べてください。
体に障害を負い、生きていくために必死になって演奏してくれたボサマ達のお陰で現在があるのです、ルーツの志を忘れず津軽三味線を末永く継承していきましょう。

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